ほぼお笑いのこと

お笑いを愛する人間による真摯なブログ

『オードリーのオールナイトニッポン』はどうしてあんなに切ないのか

オードリーのオールナイトニッポンを聴いているとどうしてこうも切なくなるのだろう。

 

二人の会話の中には、いつも少年時代のほのかな哀愁が漂っている。深夜1時から3時までの2時間の中にあるのは、もう戻らない不変の事実と、止められない速度で変わりつづける現在の2つ。それらがうまく交差しているから、視聴者はオードリーの長い歴史を少しずつ、根気強く紐解いていっているような心持ちになるのだと思う。面白くてちょっとばかし内向的な男たちの人生の、ささやかな物語の匂いが嫌でもしてしまうのがオードリのオールナイトニッポンなのである。

 

最近若林さんにおめでたいニュースがありリスナーが倍増したようなので、これを機に彼らのラジオの魅力をなるべくセンチメンタルに語ってみたい。

 

まず、オードリーとはいったいどういったコンビなのか。

彼らは中学生からの幼馴染。まったく、多感な時期だ。まるで悪童のようにふてぶてしくも愛らしい若林正恭と、寡黙な優等生春日俊彰は正反対ながらも仲の良い友人だった。コンビを組んだ当初は「ナイスミドル」という名前でやっていたが2人に華がないという理由で、華のある固有名詞の代表格「オードリーヘプバーン」からとって「オードリー」へ改名。漫才の特徴はズレ漫才。悔しかったM-1グランプリ2008年、649点。ここら辺はウィキペディアにも載っているので割愛。

 

とにもかくにも、2人は幼馴染のコンビであり、少年時代と今では長い年月の中で友人からビジネスパートナーへと関係性が異なっていった。そして今ではプライベートではほとんど会話を交わさない2人が、週に1度2時間だけ顔を合わせお互いの話をする空間があるということ。これこそがとても重要で決定的なことなのだ。

 

2人のラジオでの会話は基本至極ビジネス的だ。お笑いコンビオードリーの2人として、互いが互いの役割を演じている。春日さんはいまだむつみ荘に住んでいて今はエアロビや東大受験に挑戦している。若林さんは、お笑いを飛び越えた春日さんの仕事ぶりに悪態をつきながらも楽しそうにいじってはしゃいでいる。それはいわば用意された台本である。ただ、ふとした時2人が友人だったころの共通言語が見え隠れする瞬間がある。きっと、オードリーのラジオを好んで聴いている人の大半はこの部分が好きに違いない。

 

例えば共通の友人の名前。修学旅行で先生に怒られた話。中学時代の冴えなかった春日。西武国分寺線ラブレータを渡された春日。

 

じっくり聴いていると、彼らは彼らしか知りえない少年時代の話をこそっと落としてくれる。時に繰り返し定期的に語られるそれは、もう絶対に戻ることができない関係性への淋しさと暖かさを含んでいる。彼らはきっと2人しかいない楽屋でこの話をすることはないだろう。ラジオだからこそ話せるのは、リスナーという第三者の存在が介入しているからに他ならない。私たちは、彼らの思い出話を引き出している張本人なのだ。それを意識すれば、ラジオはもっと楽しめる。気がする。

 

そんなわけでつい先日の若林さんの熱愛報道。ラジオ冒頭で大げさに若林さんをつめる春日さんのぽろっと出たある言葉が印象的だった。

 

熱愛報道に驚きを隠せない春日さんに向かって「お前、俺のことに興味あったんだな」と嫌味っぽく放つ若林さん。

 

それを受けて春日さんはこう言う。

「だって、中学校からの友達が女優さんとお付き合いしてるだなんて驚くだろ普通」

 

(記憶をたぐりよせてるのでこの通りではないです)

 

オードリーの関係性は本当にぐにゃぐにゃとしていて、すっきりしなくて、そこが絶妙なのだ。コミカルな会話の中に、見過ごせない小さな棘が潜んでいる。まさに緊張と緩和。

 

ビジネスパートナーとなった今の2人は、気を抜くと友達だったころの名残が出てしまう。私たちは気づいたら彼らの青春時代に引っ張られ、また現在に戻されのループに振り回される。それをちょっと切ないなと思いながら、楽しむのがオードリーのオールナイトニッポンなのである。

 

以上、オードリーと、彼らのラジオの魅力が少しでも伝われば幸いです!

三四郎が使われる理由

※独断と偏見にまみれた記事です、ご了承を!

 

どうも、細々とライターをしているみらいです。突然ですが私は三度の飯よりお笑いが好きです。病気を治すお医者さんと同じくらい、人を笑顔にできる芸人さんを尊敬しています。

 

M-1は毎年開始10分で泣く始末。

舞台袖で出番を待つシリアスな芸人さんの姿を見ると心がぞくぞくと震えます……。今年は録画で見たんですが、ジャルジャル福徳さんが涙をこらえて採点結果に悔しがっていた場面で嗚咽が止まらなくなり、そこから20分程体育座りのまま動けなくなってしまいました。今年はM-1最高だったなあ……

 

好きなお笑い芸人をあげるとキリがないんですが、バナナマン・千鳥・スピードワゴン・オードリー。若手はAマッソ・からし蓮根・黒帯・四千頭身・虹の黄昏・ラフレクラン・すっきりソングなどなど。

 

その中で一際好きで、もはや崇拝の粋に達しているのが三四郎

 

ダブルいじられ芸人『三四郎

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愛情がありあまって妙にかっこいい写真を使ってしまった

ボキャブラリー豊富で、ちょっと斜に構えた独特なツッコミが持ち味の小宮さんと、もはやサイコパスだと評される飄々としたボケでコアなお笑いフリークを魅了する相田さん。2人ともいじられやすい体質から、ダブルいじられ芸人だと評されることもしばしばあるとかないとか。

今までは小宮さん単体での出演が目立っていましたが、最近では徐々に相田さんの良い意味での"ヤバさ"が浮き彫りになってきて、コンビでの仕事も少しずつ増えてきました。バラエティ番組でもネタ見せ番組でも欠かせない存在となってきている2人。お笑いライブでは舞台にあがるだけで黄色い歓声が鳴りやまず、出待ちの数も吉祥寺のメンチかつ屋並みなところを見るに、女性人気も高い様子。

 

ただ、お笑い好きの友人にこの前こんなことを言われてしまいました。

 

三四郎ってなんで使われるの?そんな面白い?よく分かんないわ」

 

三四郎が使われる理由

 

こういう意見をけっこう耳にします。もちろんお笑いの世界で、100%の人に受ける芸人さんというのは見たことがありません。だから仕方ないと思うので「わたしはなんか好きなんだよね」と答えその場は過ぎたのですが、いかんせん年末年始にお笑い番組を大量に見て、お笑いを論じたい欲が高まってきてしまったのですね。

 

というわけで、彼らがなぜいろいろなメディア媒体で使われるのか考えてみました!

 

常に平均点はだせる

 

テレビやラジオで三四郎が使われる理由(去年の年末はニッポン放送の犬でしたね彼らは)は常に平均点以上を出しているから。これに尽きるのではないかなと。

 

三四郎のテレビ初出演って、確か小宮さんが車椅子にギプス、歯をボロボロで髪はボサボサみたいななんとも型破りな登場で、ヤバいにおいがぷんぷんしていましたよね。とんでもない奴が現れた……みたいな。

 

・とがったキャラを捨てたのが功を奏した

 

でも蓋を開けてみたら、彼らはいたって常識人で頭が良かった。奇抜な芸風は掴みこそ最高ですが、その後飽きられたりキャラを維持するのが辛くなり中途半端に終わってしまう可能性があります。それに比べ三四郎は、比較的早い段階でとがりまくった芸風を捨て(自ずから捨てたのか、結果捨てることになってしまったのかは定かではありませんが)大人しくなりました。そこが成功のカギだったと思うんです。

 

小宮さんが出演回数ランキング1位を獲得した『水曜日のダウンタウン』を見ると分かりますが、大きな笑いはほとんどとっていませんん。常に中笑い(※褒めてます。好きです)。だから、番組全体の雰囲気を壊さず溶け込みながら役目を全うすることができているんだと思うんです。

 

・使い勝手の良い立ち位置

 

具体的に説明すると、番組内でおこなわれる企画のトップバッターとして登場することが多いんです。ここの役割は非常に重要で。もう一度言いますが、非常に重要で、決して目立ちすぎてはいけないんです。その後に、おそらく安田大サーカスの黒ちゃんのような飛び道具が控えているわけですから、企画趣旨をしっかり伝え、少し笑いを取れればそれで良いわけです。

 

そういう、場に合わせた空気を読んだ笑いができるのが三四郎小宮さんの強みだと思っています。要は制作サイドにとって使い勝手が良いのです。そして、だからといってもちろんつまらないわけではなく毎回必ず平均点は出せる。こういうタイプの芸人は重宝されます。バイキングの小峠さんやハライチの澤部さんも同様の役割だと思っています。

 

個人的な意見ですが、小宮さんがここまでオールマイティに活躍しているわけですから、相田さんはもっと奇天烈なボケに走っても良いと思うんです。「キングちゃん」の冷やし漫才の回を見るとお分かりいただけますが、サイコパス芸人としてのポテンシャルは十分に兼ね備えています……!

 

意外にも緻密に練られた漫才

 

これに関しては私が三四郎を好きな理由に他なりません。私はバラエティ番組で輝く三四郎と同じくらい彼らの漫才も好きなんです。

 

さきほど、彼らは常識人で頭が良いという話をしましたが、それは漫才にも存分に現れています。とりあえず、わかりやすい指標としてM-1の戦績をご覧ください。

 

・2010年 M-1グランプリ 準々決勝進出

・2015年 M-1グランプリ 準々決勝進出

・2016年 M-1グランプリ 準決勝進出

・2017年 M-1グランプリ 準決勝進出

 

 常に良いところまでいってるんですね。

惜しいところで決勝に行けていない彼らですが、漫才の完成度の高さはファンや一部の芸人さんの間でも有名です。オードリーの若林さんもラジオで「三四郎の漫才が面白かった。意外としっかりした漫才をやる」と評価していました。ここ数年、バラエティ芸人として頭角とあらわす彼らですが、ちゃんと漫才も愛しているんです。人一倍稽古をしている姿を芸人さんに目撃され、ネタにされているくらいです。自分達の漫才を評価されたという気持ちは本当に強いのかなと思います。

 

三四郎の十八番漫才はおそらく「一生漫才してたい」か「ドラゴンボール」あたりだと思いますが、私は高円寺を題材にした「高円寺クイズ」がすごく好きですね。高円寺に住み着く人間にしか分からないコアな部分をネタにしています。私の友人のように、三四郎の面白さがいまいち分からないという方はぜひ漫才も見て欲しい……!でもネタのあたりはずれはある。あれ?ってくらい面白くないものだってあります、人間だもの。

 

女性人気の確立

 

忘れてはならないのが、特に小宮さんの女性人気。私の見る限りですが、ライブ終わりの女性の出待ちの数が、ちょっとびっくりしちゃうくらい多いです。市場を動かすのは圧倒的に女性なわけですから、女性人気の確立もかれらが使われる大きな理由だと思います。

 

小宮さんがなぜここまで女性に人気なのかは私にもよく分かりませんが、ぱっと見シュッとして見えないこともない風貌も受けているのかもしれません。決してイケメンとまでは言えない彼ですが、スタイリッシュな青いスーツと韓国アイドル風な重め前髪ヘアー、茶髪、森羅万象をうやむやにできる黒縁眼鏡のおかげでイケメン風くらいにはなっている……?んですかね。

 

おまけにずっとトレードマークだった欠けた前歯を封印したので、それも良かったのかもしれません。

 

(そのかわり、最近若手の有望株「ザ・パーフェクト」のピンぼけたろうさんの歯が欠けました。)

 

結論:小宮さんは意外とオールマイティ あとは相田さんがはじければ大ブレイク待ったなし

 

さて、ここまで三四郎が使われる理由を考えてきました。結果、ポンコツキャラにみえる小宮さんが意外とケースバイケースな笑いをこなせるオールラウンダーだったことで使われる機会が増えたということが分かりました。

 

でも大ブレイクまでいかないのはやっぱりまだ少しパンチが弱い。あとはぜひ、相田さんに思う存分はじけてもらいたい。

 

そんな相田さんのはじけぶりはニッポン放送三四郎オールナイトニッポン0』をご視聴いただきたいですね。確定申告をお母さんにやってもらったり、サッカーの香川選手と同じベットで寝ていたりパンチが効いているエピソードが山ほど聴けます。

 

思いのほか熱く語ってしまいました。3500文字も書くつもりはなかった。

読み返して、自分のことを妙に気持ち悪い女だなと思ってしまいましたが、楽しかったからよし。それではAマッソのゲラニチョビを観て寝ます。おやすみなさい~。